高炉炉頂発電

提供: 計測自動制御学会

図1 炉頂圧回収タービン発電設備フロー

 過去の高炉操業においては、高炉からの発生ガスラインに設けたセプタム弁の開度を調節し、この圧損により高炉炉頂部の圧力を維持・制御していた。

 高炉炉頂発電は、この炉頂部の圧力を有効に回収しようとするもので、1960年代から検討が進められ、石油危機を契機に積極的に設置されてきた。タービン型式は外国で開発された軸流式と輻流式の2型式で実用化され、その後、国内でさらに高効率の軸流機が開発され、1979年以降の炉頂発電に採用されている。

 タービン設備が付加されたことにより、タービンを用いた炉頂圧力制御は、当初ガバナによるタービン入口弁(TCV)とセプタム弁で行っていたが、その後、タービン静翼(SB)角をガス量とガス圧の変動に応じて自動的に変化させる静翼自動可変制御方式が採用されるようになった(図1参照)。

 高炉炉頂圧力制御は、通常2個の調節計で構成され、一方(PIC-1)はセプタム弁の開度を操作し、もう一方(PIC-2)はタービンの電気ガバナに入力される。この2個の調節計に対し、設定値(目標炉頂圧力)を与えるが、PIC-2はPIC-1より少し低目(⊿SV=0.3MPa程度)の値が入力される。

 制御の概要は次のとおりである(表1参照)。

表1 制御の概要


タービン運転準備段階

 ①TCV全閉およびSB-10度(ガバナ出力0%)の状態で炉頂圧(PV値)がSV1に一致するよう、セプタム弁で炉頂圧力制御を行っている。

 ②PIC-2の出力は、炉頂圧PV > SV2の状態が続いているため、100%になっている。

タービン起動段階

 ①タービンを起動させると、電気ガバナのローセレクト機能により、PIC-2のコントロール出力以外の信号(回転数設定、電力設定等)でTCVを開けてゆく。

 ②負荷設定信号を増加させることで、それに対応した信号がガバナ出力として出力され、TCVをさらに開けてゆく。

PIC-1、2の動作

 ①TCVが開方向に動作したことにより、PIC-1の出力信号は炉頂圧力を維持しようとしてタービン停止中の値より下げてゆき、セプタム弁を閉めてゆく。

 ②さらにTCVが開いてゆくと、セプタム弁が全閉(PIC-1の出力が0%)になる。

 ③セプタム弁が全閉後、さらにTCVが開いてゆくと、炉頂圧PVはSV1からSV2までの間は制御できず下降してゆく(SV1~SV2の間は不感帯)。

 ④ガバナ出力によるTCVとSBの動きは、TCV全閉、SB最低角度の状態から、まずTCVを開けてゆき、TCVが70%程度になってからSBが開くようにセットされている。

 ⑤炉頂圧PVがSV2を下回ると、PIC-2の出力は100%より減少してゆき、負荷設定信号より低値になると、PIC-2の出力信号で炉頂圧を制御しながらガス量に応じた発電を行う。

定常運転時(炉頂圧力制御状態)

 ①発生ガス全量をタービンに通しているとき、PIC-2の出力信号でTCV、SBを操作して、炉頂圧力制御を行いながら回収発電を行う。

 ②高炉からの発生ガス量が多すぎて、発電機定格出力以上の発電となると、負荷制限設定信号により発電機定格出力以下となるよう、TCVおよびSBを調節する。

 この結果、タービンを通過するガス量を制限するため、炉頂圧PVが上昇してゆき、SV1以上になるとPIC-1の出力信号が0%より増加してゆき、セプタム弁を開きセプタム弁の方に炉頂圧力制御が移行する。

参考文献

1)山本:西山記念技術講座第116回 (1987).
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