第95回ロボット工学セミナー 数理モデルとロボット ~自然に潜む法則を役立てる~

開催日

2015年10月15日(木)9:55~16:40(開場9:30)

開催地

中央大学 後楽園キャンパス 2号館2階2221室(東京都文京区春日1-13-27)

会場アクセス

アクセス
キャンパスマップ
最寄り駅:「後楽園駅」(東京メトロ 丸ノ内線 / 南北線)徒歩5分,「春日駅」(都営地下鉄 三田線 / 大江戸線)徒歩6分

定 員

80名(定員になり次第締め切ります)

参加費(税込)

  正会員(個人) 会員外(一般) 学生会員(個人) 会員外(学生)
当学会及び協賛学会 8,500円 13,000円 3,000円 4,500円
当学会賛助会員 招待券ご利用 優待券ご利用 サービス券なし
無  料 3,000円 13,000円
  学生(RSJ会員非会員問わず) 学生以外
特別優待券使用の場合 無  料 3,000円

※賛助会員招待券/優待券および特別優待券の詳細はご案内ページをご確認ください.

口 上

近年,コンピュータの性能向上により,複雑な物理,生物の数理モデルでもそのふるまいをシミュレーションによって再現できるようになりつつあります.自然界にみられる諸現象をモデル化し,その特性をロボットの知能化や高効率な動作生成に役立てようとする最前線の研究紹介を通し,多様な数理モデルのロボットへの応用を学んでいただきます.オーガナイザー
山岡 久俊((株)富士通研究所)

講演内容

9:55-10:00 <開会挨拶・講師紹介>

10:00-11:00 第1話 場を介した自己組織化を行う生物規範型ロボット集団
東京工業大学大学院理工学研究科 倉林 大輔
本講演では,複数の自律ロボットからなる集団を想定し,個体の集団が何らかの形で秩序や情報を共有する「場」を作ることで効率的な制御を可能とする方法について実践例を紹介する.制御器内の抽象的・記号的表現と現実世界のモノ・コトを高度な推論等を用いることなく「楽に」実現することを目指す.真性粘菌を規範とする結合振動子系を用いた群ロボット誘導,アリのみちしるべフェロモンを規範とするRF-IDを用いた誘導場自己組織化,コオロギの順位づけを規範とする行動制御システムなどについて,その基礎となったモデルと実装方法,および実装上の解決課題等について説明する.

11:00-11:10 <休憩>

11:10-12:10 第2話 双一次結合型連立微分方程式をベースにしたモデルにおけるセンシングとシステム同定技術
(株)富士通研究所/ユヒ゛キタスデバイスPJ 千田 陽介,伊東 利雄
本講演では,双一次結合と連立微分方程式を組み合わせたニューラルネットワークモデルを用いたセンシングの実施例を紹介する.十数年前にロボット制御から始まった本モデルは,現在スマートフォンやIoTデバイスでのセンシングに活用されている.本モデルの特徴である双一次結合は弱い非線形なモデルを表現するのに優れたシステムであるため,弱い非線形で成り立つ現実世界をセンシングするのに向いている.このことを幾つかの事例を交えて考察する.また本モデルは弱い非線形よりシステムの挙動の見通しもよく,システム同定やモデル内の結線を推定する教師有学習にも取り組んでいる.後半ではシステム同定や本モデルの教師有学習についても紹介する.

12:10-13:10 <休憩(昼食)>

13:10-14:10 第3話 視覚・錯視の数理科学とそのアート,画像処理への応用
東京大学大学院数理科学研究科 新井 仁之
ものを見るメカニズムについて,これまでさまざまな分野で多くの研究がされてきた.しかし未解明の部分も多い.本講演では,先端的な数学を用いた数理科学的な研究成果を述べる.特に新井・新井が考案した「かざぐるまフレームレット」(pinwheel framelet)を用いた視覚の情報処理の数理モデルについて述べる.フレームレットはウェーブレットを一般化した枠組みとして知られているが,かざぐるまフレームレットは視覚研究のために構成した新しいフレームレットである.また,それを用いた色知覚,各種の目の錯覚(錯視)の解析への応用について述べる.さらにオプアートへの新しいアプローチ,画像処理技術への応用についても述べる.

14:10-14:20 <休憩>

14:20-15:20 第4話 動物の生き生きとした振る舞いに内在する制御原理を探る
東北大学電気通信研究所 石黒 章夫
動物は,身体に有する膨大な自由度を巧みに操りながら,予測不能的に変動する実世界環境にうまく適応している.このからくりが理解できれば,生物学的にはもちろんのこと,ロボット工学的にも大いに資することが期待できる.しかしながら,生物制御のからくりを抽出(数理モデリング)する過程では,さまざまな恣意性が入る可能性が否めない.その結果,当該現象をうまく説明できうる「スッキリと本質を掴んだ」数理モデルを構築することは困難を極めるのが普通である.本講演では特に,多脚動物が示す巧みな脚間協調に内在する自律分散制御のからくりの抽出に関するわれわれの事例研究を採り上げる.これら事例研究の成果から,動物が示す「コト」のモデリングの際のツボと注意点(罠)を考えてみたい.

15:20-15:30 <休憩>

15:30-16:30 第5話 複雑系数理モデル学の基礎理論研究と応用研究
東京大学生産技術研究所 合原 一幸
本セミナーでは,世の中に実在する複雑系の数理モデリングに関して,基礎理論研究と応用研究の概要を解説する.特に,制御理論と力学系理論の融合による複雑系制御理論,複雑ネットワーク理論,非線形データ解析理論を基盤とする複雑系数理モデル学の理論的プラットフォーム,さらにはその具体的な応用事例,たとえば,ハイブリッド力学系理論を用いた癌治療,動的ネットワークマーカーを用いた故障の予兆検出,脳型コンピュータなどを紹介する.

16:30-16:40 <閉会挨拶>

参加申込はWEBページから「セミナー参加申込フォーム」にアクセスの上、手続きをお願い致します。

その他開催予定のロボット工学セミナー

第96回ロボット工学セミナー 神経生理から理解するリハビリテーション・ロボティクス

開催日

2015年11月17日(火)10:00~16:50(開場9:30)

開催地

名古屋大学 東山キャンパス VBLホール(愛知県名古屋市千種区不老町)

本件に関する連絡先

一般社団法人 日本ロボット学会  ロボット工学セミナー係
〒113-0033 東京都文京区本郷2-19-7 ブルービルディング2階
TEL 03-3812-7594 FAX 03-3812-4628
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