2020年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりパンデミックが発生し,1年以上経った現在もまだ変異株の拡散により緊急事態宣言が発出され生活の制限が続いている.この間,オフィスでは在宅勤務やリモートでの会合が一般的になり,働き方改革が急激に進んでいるが,操業現場においても様々な感染防止策が工夫されている.
2020年11月から12月にかけて,計測自動制御学会 事業会員サービス委員会 安全のための計測・制御・システムを考える会は,化学工学会 システム情報シミュレーション部会プラントオペレーション分科会,電子情報技術産業協会 制御・エネルギー管理専門委員会WG3の協力を得て,合同調査委員会を結成し,操業現場での感染防止策や技術の現状と期待に関するアンケート調査を行った. アンケートは設問の大項目数で14,回答欄数で283という多岐にわたるものになっているが,化学,石油,ガスといった保安4法で規定されている定期修理が必要な事業所を中心に,機器組み立て,半導体,非鉄金属,社会インフラを含む45事業所から回答をいただいた.
ご協力いただいた皆様に,心より感謝申し上げる.
アンケート報告書を集計編と解析編の2部構成としてまとめた.設問数が多いため,集計編は79頁になっているが,回答いただいた各社の工夫や問題意識を共有することが,まだ収束していないコロナ禍における喫緊の課題解決に有効であることを期待し,回答をいただいた情報をもれなく設問ごとに紹介している.解析編は,関連した回答が異なる設問に存在することが多くみられたこともあり,アンケート委員会で,回答を整理しなおし,解釈や提言も加えて紹介している. 解析編から読み始めて,集計編を参照していただいても,目次から読み進めていただいても,興味の箇所にたどりつきやすいように,文書内にハイパーリンクを設置した.pdfビューアーでリンクをたどり,元に戻るという機能をご利用いただきたい.
アンケートで得られた各事業所での工夫を共有することが今後の取り組みに役立ち,コロナ禍で有用であり期待されている技術などに関する情報が,今後の技術開発の方向性検討の一助になることを期待する.

COVID-19操業現場対応アンケート調査委員会

■ 報告書目次

1. 集計編

1.0 アンケート回答者情報

         1.1 設問① COVID-19によるプラント操業への影響

         1.2 設問② 運転継続のための運転シフトの見直し

         1.3 設問③ 感染防止のための運転業務における作業及び確認の見直し

         1.4 設問④ 運転担当者が報告・連絡・相談をする際の三密対策

         1.5 設問⑤ 感染防止のための制御室等設備の見直し

         1.6 設問⑥ 健康状態の管理方法

         1.7 設問⑦ メンテナンス業務での対応

         1.8 設問⑧ 定期修理時ならではの対応

        1.9 設問⑨ 既存のBCPと新型コロナ感染症(COVID-19)への対応における問題点

        1.10 設問⑩ BCP/BCMの見直し

        1.11 設問⑪ 現状技術の課題

        1.12 設問⑫ 設備・操業の将来像と技術への期待

        1.13 設問⑬ リモート化の進展に伴って考慮されるべきサイバーセキュリティ

        1.14 設問⑭ アンケートを通じてのコメント・感想・学会への要望

2. 解析編

        2.2 コロナ禍での操業維持および保守・点検のための対策 

        2.3 現状技術の課題と将来技術への期待[設問⑪⑫]

        2.4 セキュリティ[設問⑬]

        2.5 コロナ禍のようなパンデミックに対する事業継続計画(BCP) [設問⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧]

まとめ

編集後記

索引