論文集抄録
〈Vol.56 No.1(2020年1月)〉

タイトル一覧
<特集 第19回システムインテグレーション部門講演会特集号>

[論 文]


[論 文]

■ ユーザの性格特性がユーザの働きかけに対するロボットの反応への印象に与える影響

林 里奈

ロボット介在活動の拡大に伴い,用途に合わせたセラピーロボットの振る舞いの設計に対する需要が増加することを見据え,ユーザの性格が,寛容的な反応のロボット,拒絶的な反応のロボット,感情的な反応のロボットの印象に与える影響を,評価実験を通して比較検証した.その結果,ユーザの外向性が,寛容的な反応のロボットに抱く外向性と堅実性に,ユーザの開放性が,感情的な反応のロボットに抱く寛容性に影響を与えることを確認した.また,ユーザの性格に拠らず,他の反応のロボットと比較して,拒絶的な反応のロボットは有意に心が狭いという印象を与えることを確認した.したがって,セラピーロボットの振る舞いを設計する場合,どのようなロボット介在活動向けセラピーロボットであっても,拒絶的な反応は??けて設計した方が良い.また,外向性の高いユーザが多く利用するロボット介在活動向けセラピーロボットは寛容的な反応,開放性の高いユーザが多く利用するロボット介在活動向けセラピーロボットはネガティブな反応の設計に留意する必要がある.


 

■ 非同期セルオートマトンによるリザバーコンピューティング

日本大学・浦上 大輔,早稲田大学・郡司 ペギオ幸夫

我々が提案している非同期同調セルオートマトンは,オーダーパラメータのファインチューニングを必要とせずに臨界的な時空間パターンを生成することが明らかになっている.本研究では,この驚くべき特性を近年時系列データの学習モデルとして注目されているリザバーコンピューティングに応用した学習システムを提案する.そして,提案システムの学習能力をfive-bit taskという学習課題によって評価した.その結果,提案システムは学習する時系列データ中のディストラクタが長い場合も学習の成功率が比較的高いということが明らかになった.


 

■ロボットシステムとディープニューラルネットワークのシームレスな連携を実現する統合開発環境

セック・児玉 隆一郎,廣瀨 剛,長瀬 雅之,川口 仁,早稲田大学・菅 佑樹,尾形 哲也

近年,人工知能技術の発達とともに,人工知能技術のロボットへの応用が期待されている.一方で,異なる学術領域に属するロボット分野と人工知能分野は日々発達しており,ロボットへ人工知能技術を応用するためには,ロボットやDeep Neural Networkの一方の知識だけではなく,双方の知識・開発技術が必要となっている.
我々は,ロボット技術・人工知能技術開発の橋渡しをするため,統合開発環境を開発し,AirGraphという名称で公開した.本論文では,AirGraph開発に際しての問題意識と,それに対する対策となるAirGraphの各機能について紹介する.さらに,AirGraphを用いた開発実例を示し,このIDEが有用なものであることを示す.


 

■ 協調ドローンを用いた避難誘導支援システム

函館工業高等専門学校・鈴木 学,浜 克己,中村 尚彦

日本はさまざまな災害が発生しやすい国土である.そのため地域自治体では,災害に強い組織・ひとづくりを進めており,災害時の自主避難の際には,周辺の被災状況を迅速かつ的確に捉える必要がある.
近年,災害時の情報収集方法として,ドローンをはじめとしたUAVの活用が研究されている.これにより周辺の被災状況を把握できるが,避難の際には安全な避難経路を確保し,目的地まで案内する誘導役が必要となる.災害発生時の人手不足や情報把握の負担を考えると,避難誘導までを含む自動化が望ましい.そのため,ドローンには人の認識とともに,協調して安全に移動できることも要求される.
本研究では,個人を判別できるARマーカを用いてドローンに人を認識させ,ドローンが避難者と協調して自律隊列移動を行う誘導支援法を提案する.これを実現するための要素技術として,避難経路探索と軌道生成,自律制御による軌道追従,ドローンによる人の誘導について述べ,シミュレーションにてARマーカを用いた人1名とドローン1台の誘導法の検証を行った.ドローンが人を認識し,目的地まで誘導することはシミュレーション上で可能であることを示した.


 

■ ボロノイ分割を用いた複数のクワッドロータの相互衝突回避に関する数値的検証

関西大学・中川 健人,権 裕煥,本仲 君子,三好 誠司

複数のクワッドロータが空撮や監視,宅配などを目的とし,管制塔を持たずに自律飛行する場合,相互衝突を回避するためのアルゴリズムが必要となる.D. Zhouらはこのように複数のクワッドロータが動作する環境を想定し,ボロノイ分割に基づく分散衝突回避アルゴリズムを提案した.D. Zhouらの手法は,自機と他のクワッドロータとの相対位置のみを用いて衝突を避け目標位置へ移動するための制御入力を容易に決定できる点が特徴であり,計算コストが低く正確なセンシングが不要であることから実機実装に適したアルゴリズムである.本研究では,動力学シミュレータV-REPにより,D. Zhouらの手法を適用した場合のクワッドロータの動力学的な挙動について検証した.このとき,オーバーシュートが生じることを確認したためオーバーシュートを抑制するための対策としてクワッドロータの移動速度を可変とする速度調整手法を提案し,シミュレーションにより従来手法との比較を行った.