主 催・企 画

事業推進連携委員会
安全のための計測・制御・システムを考える会

協 賛

安全工学会、化学工学会、石油化学工業協会、石油学会、石油連盟、(一社)日本化学工業協会、日本電気計測器工業会(予定)、ARC Advisory Group Inc.,

安全のための計測・制御・システムを考える会では,毎月「安全を考える」サロンを開催しています.このサロンでは,「プラント運転,システム,交通(自動車,列車,航空機,船舶)など社会生活の安全」に関することについて,有識者の講演をお願いし,その講演を題材として,自由な討議をすることを目的としています.
安全は工学・技術にかかわる重要な課題ですが,事業活動や社会生活あるいは法律などの機微にかかわる問題でもあることからメンバーを限定して討議しています.
本サロンは2014年3月から開始し,すでに20数回に及ぶ有益な討議がありましたが, 今回,これらの講演の中でプラントの運転・保安の取り組みに関わるものに絞って,講演会を企画いたしました.
プラントの設計・運転には,取扱い物質,制御システム,設備などの技術的知識に加え,人の管理,高圧ガス保安法などの法的な知識も必要です.今回は,これらに焦点を当てた講演であり,プラントの設計および運転に携わっている方に,特に有意義な内容となっています.是非,本機会を,ご利用ください.

講 演 会

「プラント運転の安全を考える講演会」

講 師

田村 昌三君(東大名誉教授)
岩間 啓一君(石化協技術部長)
中村 昌允君(東工大)
勢登 俊明君(山口県)
松山 久義君(九大名誉教授)

司 会

江木 紀彦君

日 時

2016年11月28日(月)9時30分~20時00分

会 場

慶応大学日吉キャンバス来往舎 シンポジウムスペース
キャンパスマップ【9】の建物1階

講演内容

9:40~10:40
題 目:化学の視点から見た産業安全
講演者:田村 昌三君
概 要:化学プラントの安全化を図るためには,化学プロセス安全の基本を理解し,産業安全環境の醸成に努めることが重要である.ここでは,化学プロセス安全化の考え方,その基本となるリスクアセスメントとリスクマネジメントについて説明するとともに,産業安全環境の醸成のための安全文化を考慮した産業安全としての保安力や現場保安力の評価と強化,人材育成のための体系的安全教育プログラムの推進について述べる.
10:50~11:50
題 目:産業安全に向けての産業界の取り組み-石油化学工業協会の活動-
講演者:岩間 啓一君
概 要:保安の確保は石油化学工業協会(石化協)会員各社が事業を行っていくための最優先の基盤であり,保安の確保なしでは事業の継続は望むことができない.しかし,2011年から12年にかけて,優れた保安レベルにあると考えられていた事業所において,3件の爆発・火災事故を発生させ,いずれも1名の方が亡くなられた.また,周囲の家屋にも被害を出すなど社会的も大きな影響を与えた.このため,石化協では,安全文化の醸成活動に加えて事故の背景分析から抽出された四つの課題への対応を「産業保安に関する行動計画」としてまとめ,実行している.ここでは,特に事業者団体としての行動計画の考え方,具体的な活動について説明するとともに,化学産業の保安に関するスマート化の課題について提起する.
(昼休)
13:00~14:00
題 目:事故から学ぶ技術者の責任~現場力の低下と安全管理の課題
講演者:中村 昌允君
概 要:最近の化学プラントの事故に鑑み,Process Safety の観点から三つの課題を取り上げる.第1は設計段階の重要性である.安全には,Process SafetyとPersonal Safetyとがあるが,プロセスが持っている危険性の顕在化を防ぐには,設計段階で対策を講じるしかない.第2は安全に寄与する自動化とは何かである.やって良い自動化とやってはいけない自動化がある.この兼ね合いをどのようにつけていくかである.第3は緊急事態等で人間の対応が間に合わないときには,安全計装の考え方を取り入れてシステムに安全にプラントを停止させることの重要性である.これまでの現場力に依存する考え方からトップ主導型の安全管理への転換期にきている.
14:10~15:10
題 目:コンビナート事業所の現場の声と次世代の人材育成
講演者:勢登 俊明君
概 要:近年のコンビナート事業所における重大事故が発生しているが,この要因の一つとして,人材育成・技術伝承が不十分という点が挙げられている.また,時代の変化により,以前とは異なる人・設備の面で課題を抱えている.これらの課題に対し,安全を支える現場では,様々なアプローチを模索し,将来を担う次世代に技術を繋げようとしている.ここでは,現場の運転員等と直接対話し,拾い上げた「現場の声」から,導き出された次世代の人材育成に必要な視点を紹介する.
15:20~16:20
題 目:重大事故を防止するための保安管理
講演者:松山 久義君
概 要:1973年に化学・石油精製プラントの保安事故が多発して以来,化学・石油精製各社は,設備故障と誤操作の防止を通じて保安事故防止に取組んで来た.特に1986年に発足した認定保安検査実施者制度の発足以後は,設備故障に起因する重大事故は皆無となっている.しかし,2011年以降に発生した4件の重大事故は,設備故障防止だけでは保安事故を防止できないことを我々に再認識させた.保安事故防止のために排除すべき危険源をプロセスシステム工学的に整理して事故事例と共に示す.
16:30~17:30
題 目:パネルディスカッション
パネラー
田村 昌三君,岩間 啓一君,中村 昌允君,勢登 俊明君,松山 久義君
司会:伊藤 利昭 君
受講者からの各講演者への事前質問を中心として,会場からの質疑も加えて,プラント運転の安全に関して,自由討論をして頂きます.
18:00~20:00 会場は来往舎ファカルティラウンジです.
懇親を兼ねた自由討論会(参加は自由です)

募集人員

100名(定員になり次第,締切らせていただきます.)

参加費

正会員 学生会員 名誉会員 SICE賛助会員,協賛団体所属員 一般会員外 学生会員外
10,000円 5,000円 無 料 10,000円 15,000円 8,000円

参加申込方法

学会ホームページのCGI申込からお願いします.

振込先

三菱東京UFJ銀行本郷支店 普通預金 108600
名義「(社)計測自動制御学会」 シヤ)ケイソクジドウセイギヨガツカイ

申込締切

2016年11月25日(金)(振込期限)

問合せ先

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-11-9金子ビル4階
公益社団法人計測自動制御学会 事業推進連携委員会担当:田中
電話(03)-3292-0314 E-mail:tanaka@sice.or.jp

講師紹介

たむら まさみつ
田村 昌三 君(正会員)
1969年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了. 1990年東京大学工学部反応化学科教授,化学システム工学専攻教授,新領域環境学専攻教授歴任.2004年定年退官,名誉教授。同年横浜国立大学安全・安心の科学研究教育センター教授.2009年同客員教授.2014年退職.専門はエネルギー物質化学,化学安全.各省庁及び関連団体の安全関係委員長,委員.火薬学会,安全工学会会長歴任.総合安全工学研究所,災害情報センター理事長.
いわま けいいち
岩間 啓一 君(正会員)
1976年 早稲田大学理工学研究科(応用化学)修士課程修了,三菱化成(当時)入社水島工場配属 76/86年 BTX,VCMプラントの運転,合理化等に従事86/90年 ブラジルCPC社に出向し,VCM,PVCプラントの能力増強,新プラント建設に従事1990/2002年 工場,本社で技術スタッフ業務に従事2003/07年 直江津工場勤務2007年~ 石油化学工業協会に出向し技術部門担当.
なかむら まさよし
中村 昌允 君(正会員)
1968年東京大学工学部工業化学科を卒業後,ライオン油脂株式会社に入社,主に合成洗剤の開発研究に従事.91年に植物油脂パーム油を原料とする新しい界面活性剤「α‐SF」の工業化を行う.この時に爆発事故に遭遇し,以後産業界の事故の背景とそこでの技術者の行動を研究している.資格:工学博士,技術士(化学部門),労働安全コンサルタント(化学部門)2005年~2014年 東京農工大学大学院技術経営研究科技術リスクマネジメント専攻教授2008年~東京工業大学イノベーションマネジメント研究科客員教授を兼務
せと としあき
勢登 俊明
2005年4月,技術職として山口県入庁.2007年4月,県防災危機管理課に配属.16年4月,宇部健康福祉センターに配属し,大気汚染や水質汚濁等,環境保全に関する業務に携わっている.これまでの業務において,コンビナートの事業所の「現場の声」を拾い上げ,人材育成,防災体制に関する論文としてまとめ,危険物事故防止対策論文(消防庁・危険物保安技術協会主催)として公表されている.
まつやま ひさよし
松山 久義 君(正会員)
1980年九州大学工学部化学機械工学科教授.2003年九州大学定年退官,名誉教授,早稲田大学大学院情報生産システム研究科教授.2010年早稲田大学定年退職.2009年~2011年日本設備管理学会会長.92年より認定(保安・完成)検査実施者調査委員会委員.