「会長就任にあたって」― 産と学の距離を縮め共創の時代へ ―

2022年度(令和4年度)会長
アズビル株式会社
新井 弘志

このたび、計測自動制御学会の第61期会長に就任いたしました。在学中からSICEで制御工学を学び、オートメーション専業の会社に入社し、フィールド機器から制御システム、情報系システムに至る、計測と制御の幅広い領域に携わってまいりました。近年、IoTやAIがもてはやされる時代においても、実世界とのインタラクションを対象とするSICEの計測・制御・システムの学術領域の重要性はますます高まってくると確信しております。

しかしながら、ここではあえて産業界出身の立場でSICEの課題を述べさせていただきます。以前の産と学の関係は、学術界が理論や技術の研究、産業界がその応用といった役割分担で社会に貢献してきました。しかし、時代の流れとともに企業が求める学会の役割が変わり、近年は産学の役割分担から共創の時代へと変化してきています。その中でSICEは、産と学の橋渡しをする役割を十分に発揮できていないのではないかと感じております。そこで、今年度は以下のようなポイントで「産と学の距離を縮める活動」をおこなっていきたいと思っております。

1. 産学が居心地よい場作り

産学のハブとしての学会という役割を再認識し、企業エンジニアにとっても大学の研究者にとっても集まりたくなるような場としたいと思います。そのために、「SICE Industry」の旗印のもと、産学の距離を縮めることを目的としたオープンイノベーションを進めていきます。

2. 会員外へのアウトリーチ

SICEは、SDGsなどの社会課題への対応につながる基盤技術である、計測・制御・システムを総合的に扱う国内最大の学会です。SICEでは従来から社会課題解決に対する研究活動を数多くおこなってきております。これらの意義を、より広く、社会に発信するために、各活動がSDGsの各ゴールに関してどのようなリンケージを持っているかを明確にし、発信していくことも重要であると考えています。

また、学際領域を扱う学会として、分野横断による新たな価値創造を促進するために、従来の会員を超えた多様な層への情報発信・啓蒙活動を行っていきます。

2023年に国際自動制御連合IFACの世界大会が日本で開催されますが、開催に先立ち、様々な産業分野から120名を超える産学メンバーがIndustry Groupとして集結し、盛んに企画を進めております。このIndustry Groupとの連携・支援を通して、新たな産業分野へのアウトリーチを目指します。

更に企業スポンサーシップなど、企業に対する学へのアプローチの窓口の一本化や、産学協働への支援、つまり、企業側の“やりたい“活動を促進する環境作り、資金的なバックアップの仕組みを作っていきたいと考えています。

3. 人材育成と人脈構築への取り組み

社会課題の解決に貢献するエンジニアの育成と人脈構築の場として、SICEの価値を高めていきたいと思います。作年度からスタートしたSICE共創塾では、社会課題に取り組む次世代の人材育成を行ってまいります。

学会は、社会人の学び直しの場としてはもちろんのこと、他業界の技術者との交流を通して気づきが得られる場や、産の人間と学の人間が互いに交流する場としてなど、様々な観点で共創の場を提供することができます。これまで産業界からは主に研究開発部門の方たちが学会活動を支えてきましたが、今後はダイバーシティの観点で幅広い事業部門の方が学会に関われるようにしたいと考えております。

4. 持続可能な学会運営

社会環境のトレンドを考慮し、学会が持続可能な研究活動の場となるよう、財務改善と運営の効率化を行います。ここ数年はコロナ禍でもありますが、財務状況が改善されております。しかし、長期トレンドを考慮すると、安心できる状況ではありません。コロナ後も踏まえて、会費収入に頼るだけではなく、SICEの魅力を発信することにより、財務基盤の強化を図っていきたいと思っております。また同時に、事務局の活動の効率化、強化もおこなっていきたいと思います。

SICEは昨年度に60周年を迎え、新生SICEとして藤田前会長からバトンを渡されました。会員減少傾向の一方で、カンファレンス全体の参加者は増加傾向にあり、学会としては決して悲観的な状況ではないことが示されています。本年度は上記の活動指針に基づいて、新体制の役員、事務局職員一同、SICEの活動を強化促進していきたいと思いますので、会員ならびに賛助会員の皆様のご支援、ご協力とご参加をよろしくお願い申し上げます。

学会概要

会員募集

計測自動制御学会では会員を募集しております。皆様のお近くのかたで入会ご希望のかたがおられましたら、ぜひ入会をすすめてくださいますようお願いいたします。

正会員、学生会員、賛助会員のご入会方法は、入会申し込み会員特典・年会費をご覧ください。または、SICE事務局会員係(電話:03-3292-0314)までお問合せください。