「会長就任にあたって」―分野横断で知を究め新しい価値の共創を ―

2024年度(令和6年度)会長
三菱電機(株)
佐藤 智典

この度,計測自動制御学会(SICE)第63期会長に就任いたしました.60年を越える長い歴史のある学会を運営する大任をお引き受けするにあたり,その重責に改めて身が引き締まる思いでおります.私はSICEの学術領域である「計測」「制御」「システム」に関する研究開発に,在学中から企業における現在まで長らく携わってまいりました.産業界の中で計測・制御に関わるモノづくりに携わってきた身として,微力ながら本学会の発展に全力を尽くす所存です.あらためて本学会を支えてくださっている個人会員および賛助会員の皆様のご指導,ご協力をお願いするしだいです.

IoTやAIが普及し情報の連携と自動化が進む現代社会において,SICEの役割はこれまで以上に重要性を増しています.台風や洪水の被害を拡大する地球温暖化への対処,地震や豪雨などの災害対応,航空機や鉄道の事故防止など,社会課題解決にSICEの知見を活かしうる場面・活かすべき場面が数多く見られます.複雑な現実世界(フィジカル空間)をセンサーネットワークで「計測」し,強力な計算機能力で構築したサイバー空間上で定量的分析を行い,その結果に基づいて全体最適を目指した「制御」を行うCyber Physical System は,SICEの多くの中核技術が連携して成り立つものです.SICEはミッションとして,関連分野・産官学のハブとなり,発信・連携することで社会課題の抽出・解決に貢献することを掲げています.これらに資する技術と人材を生み出し,また知の交流の場を形成することは,学会が社会課題解決に貢献するために重要な機能であると考えます.

第63期の運営では重点施策として1)社会課題解決とアウトリーチ,2)Annual Conferenceの改革, 3)会誌等のデジタル化に取り組んでまいります.

産学連携による社会課題解決とSICE会員外を含めたアウトリーチに関しては,国際自動制御連合IFAC2023のために結成されたIndustry Groupの活動を継承し,SICEインダストリ委員会の中に’Wagora’と呼ぶグループを作り,産学の幅広い分野のメンバーが集う開かれた場を提供します.また,新たに学会の第一人者にご専門の学術分野における学会と産業界の関わりを語っていただく’エグゼクティブサロン’活動をスタートして,賛助会員の経営層を含めた会員サービスの向上を図る計画です.更に,社会課題の抽出・解決に貢献する成果を挙げた会員を表彰するサステナブル社会貢献賞を設け,Annual Conference会期中に贈賞する予定です.アウトリーチの面では,学会ホームページのSICEチャンネルにて学会の取り組みや計測自動制御に関する動画の発信を始めているとともに,小中高校生向け企画なども計画しています.

Annual Conferenceの改革に関しては,従来から学会の主要な行事としてSICE Annual Conference(SICE AC)を開催しておりましたが,これを一層広範に展開し,質の高さと裾野の広がりを両立する場としての「学際的な祭典」とすべくSICE Festival with Annual Conferenceとして,今年は8月27日~30日に高知工科大学永国寺キャンパスにて開催予定です.

会誌等のデジタル化に関しては,学会の根幹である会誌や論文誌の出版において,効率化を図りながら,将来的には動画やデータセット等の多様なコンテンツの掲載を可能とし,会員の皆様にとってより魅力のあるメディアとすべく,紙媒体から電子媒体への移行を段階的に進めてまいります.

上記重点施策を着実に実行することにより,学会基盤の強化を図ります.本学会の会員数は1991年の9,120名を頂点に,以後ほぼ直線的に減少しています.日本の人口減少にも通じる本学会の課題に対して,SICEのプレゼンス向上と会員サービスの向上による会員数減少防止とともに,環境変化に応じた財務構造の再構築ならびに学会運営・事務局体制の効率化を進めています.

本年度は上記の活動方針に基づいて,新体制の役員,事務局職員一同,SICEの発展に向けて努力してまいります.SICE会員ならびに賛助会員の皆様の引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます.

学会概要

会員募集

計測自動制御学会では会員を募集しております。皆様のお近くのかたで入会ご希望のかたがおられましたら、ぜひ入会をすすめてくださいますようお願いいたします。

正会員、学生会員、賛助会員のご入会方法は、入会申し込み会員特典・年会費をご覧ください。または、SICE事務局会員係(電話:03-3292-0314)までお問合せください。