主 催・企 画

SICE制御部門 事業委員会,
ダイナミクスを活用した機械学習による制御理論の革新調査研究会

場 所

富山国際会議場

時 期

2026年3月3日(火)13時30分~16時30分

近年,AI分野では生成AIに代表される大規模言語モデルの発展が著しく,情報処理能力や判断精度の飛躍的な向上が実現されている.
一方,これらの技術を現実世界へ展開するには,単に知能的な情報処理にとどまらず,物理空間と相互作用し,自律的に振る舞う「Physical AI」への発展が不可欠である.
Physical AIとは,センサーを通じて得られる環境データを基に,学習・推論を行い,アクチュエーターを介して実環境へ働きかけることで,タスクを遂行する知能システムを指す.
このような物理世界と密接に関わるAIシステムにおいては,対象システムのダイナミクスを正確に捉え,予測可能なモデルを構築することが,安全性・性能・信頼性を確保するうえで極めて重要となる.
制御工学においても,システム同定を軸に,データ駆動型同定手法,物理法則と機械学習の融合(Physics-informed ML),非線形システム向けモデル構築技術など,物理システムのダイナミクスをデータから捉えるための研究が大きく進展している.
これらの取り組みは,物理空間と相互作用しながら動作する Physical AI において不可欠となる「信頼できるモデル」の基盤を形成している.本ワークショップでは,システム同定やモデリングに関わる幅広い研究に取り組まれている三名の講師をお招きし,各先生方が日頃進められている取り組みや,データと物理システムをつなぐうえで感じておられる工夫や視点についてご紹介いただく.
また,Physical AIという新しい潮流を見据えながら,これからのモデルづくりや制御・学習のあり方について,参加者とともにゆるやかに意見交換を行いたい.
システム同定の可能性をあらためて見つめ直し,多様な分野の研究や応用へとつなげるきっかけとなることを期待している.

カーネル正則化による物理的知見を利用したシステム同定』
藤本 悠介氏 大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 准教授
≪略 歴≫
2018年3月京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.同年北九州市立大学国際環境工学部情報システム工学科講師,2022年同准教授を経て2025年より大阪大学大学院基礎工学研究科准教授となり現在に至る.2015年より3年間日本学術振興会特別研究員(DC1).博士(情報学).システム同定およびデータ駆動制御に関する研究に従事.2024年度計測自動制御学会論文賞,2012年度日本機械学会畠山賞,SICE Annual Conference 2015 Student Travel Grant Award, 2015年度計測自動制御学会関西支部支部長賞,2019年度電気学会優秀論文発表賞などを受賞.IEEE,計測自動制御学会,システム制御情報学会,電気学会の会員.

『物理情報を活用した機械学習によるモデリング』
武石 直也氏 東京大学先端科学技術研究センター 知能工学 分野 講師
≪略 歴≫
2018年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了,博士(工学).同年4月理化学研究所革新知能統合研究センター特別研究員.2020年9月より西スイス応用科学大学ジュネーブ校経営学部博士研究員.2023年7月より東京大学大学院工学系研究科講師,現在に至る.機械学習と作用素論的力学系論に基づく力学系解析手法,物理情報を活用した機械学習手法,機械学習による科学的逆問題の手法などの研究に従事.

『ニューラルネットワークを用いた非線形システム同定』
川口 貴弘氏 群馬大学大学院 理工学府 電子・機械部門(知能制御プログラム) 准教授
≪略 歴≫
2013年慶應義塾大学大学院理工学研究科前期博士課程修了.同年(株)東芝入社,2015年まで研究開発センターに勤務.2017年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了.博士(工学).同年より東京工業大学工学院研究員,2019年より同特任助教.2020年より群馬大学大学院理工学府の助教,2024年より同大学の准教授となり現在に至る.システム同定,状態推定,分散制御系設計の研究に従事.システム制御情報学会,計測自動制御学会,電気学会,IEEE CSSの会員.2019年度計測自動制御学会論文賞を受賞.