SICE第29期会長で名誉会員である示村悦二郎先生より、「科学測器」という雑誌(全40冊)をご寄贈頂きました。
この雑誌は、1941年1月に設立された「科学測器学会」の学会誌です。この学会については、「電気、機械、化学等という縦割りの専門に捕われず計測という共通した横の専門の研究技術者たちが連絡できる新しい学会を作りたいという要望が各方面から起こり、その後逓信省にあった電気試験所 (現電子技術総合研究所)の第一部長をしておられた神保成吉博士が陸軍中将だった多田礼吉氏と相談して日本で最初の計測に関する学会である『科学測器学会』を作った」と、SICE創立30周年に記念出版された「私の”いけん”」に内藤正氏が記しています。
今回ご寄贈頂いたコレクションは、「科学測器」誌第1巻第1号(1941年)から戦争が激化した第4巻第5号(1944年)までの物で、残念ながら第3巻第10号(1943年10月号)が欠本していますが、それ以外はそろっており、たぶん日本で現存する中で一番充実した貴重なコレクションだと思われます。
なおこの学会は戦後活動を再開することはなかったようですが、「科学測器」という名前の雑誌は、1951年ごろまで商業誌として刊行されていたようです。また、この学会に携わっておられた多くの先生が、SICEの前身である日本計測学会の創設にかかわっていたようです。
以上、SICE設立に至る前史を学ぶうえで貴重な資料をご寄贈頂きましたことを、報告いたします。

(文責:SICE事務局 井端、参考:計測自動制御学会50年史、p.541-543、2011年)

ご寄贈頂いた「科学測器」(全40冊)。このコレクションは、現在SICE事務局に展示してあります。
もし欠本している第3巻第10号、およびそれ以降の号についてなどの情報をお持ちの方がおられましたらば、ご一報ください。