学術奨励賞・研究奨励賞 10名
○ヘルムホルツ分解に基づくMRIを用いた人体内部の電場および電気特性分布の反復再構成手法
(第37回センシングフォーラム 計測部門大会で発表)
東京大学 江田 尚弘 君
○漏れ波型テラヘルツレーダーの識別力向上に向けた掃引データ区分化処理の研究
(第37回センシングフォーラム 計測部門大会で発表)
慶應義塾大学 伊藤 優希 君
○ロバストネットワークにおけるパルス通信を用いたレジリエント同期
(第62回自動制御連合講演会で発表)
東京工業大学 伊織 佑悟 君
○DoS攻撃下における非線形システムの量子化制御
(第62回自動制御連合講演会で発表)
東京工業大学 加藤 留偉 君
○多次元時系列データに対するMulti-level Attention を用いた解釈可能な時系列予測
(第47回知能システムシンポジウムで発表)
横浜国立大学 井本 稜馬 君
○Sequential Line Searchを用いた振動触覚イコライザシステム
(第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
東京大学 砥出 悠太郎 君
○階段昇降可能な無動力油圧システムを有する大腿義足
(第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
東海大学 高橋 澪生 君
○輸送渦の時空間的生成を用いたオンチップソーティング
(第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
名古屋大学 笠井 宥佑 君
○腸管を規範とした蠕動運動型コンベアの効率的な粉体搬送性能の把握―単一ユニットの連続動作時の内側チューブ管路の測定―
(第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
中央大学 松井 大育 君
○極小剛を網羅配置した保護外皮メカニズム―耐脱鱗性を有する伸縮自在な柔剛兼備ウロコ状機構の考察と具現化―
(第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
LE11 鉄井  光 君

学術奨励賞・技術奨励賞 3名
○周波数変調レーザを用いた距離と速度の同時計測
(第37回センシングフォーラム 計測部門大会で発表)
日本製鉄(株) 大島 伸一 君
○位相相関画像とCNNを用いたロバストな移動量推定
(第47回知能システムシンポジウムで発表)
横浜国立大学 大石 修也 君
○釣糸アクチュエータのユニット化のための光ファイバを用いた変位センサの検討
  (第20回システムインテグレーション部門講演会で発表)
  東京工業大学 舛屋 賢 君

受賞者略歴および受賞論文概要

えだ なおひろ
江田 尚弘 君(学生会員)
1996年京都府生.2019年東京大学工学部係数工学科卒業.2021年東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻博士前期課程修了.MRIを用いた人体内部の電気特性の画像化の研究に従事.

受賞論文「ヘルムホルツ分解に基づくMRIを用いた人体内部の電場および電気特性分布の反復再構成手法」
癌細胞など一部の異常組織は人体内部の正常組織と比較して異常な電気特性値を示すことが知られており,人体内部の電気特性画像は医療診断の一助となることが期待されている.それに伴い,人体内部の電気特性を計測する技術が様々開発されており,特に近年 MRIを用いることで高解像度かつ非侵襲的に計測可能な磁場データから人体内部の電気特性を再構成する Magnetic Resonance Electrical Properties Tomography (MREPT) が注目されている.MREPT における従来の電気特性再構成手法の多くは,電気特性分布に対して局所的一様性や二次元的であるなどの仮定が必要であり,電気特性が三次元的な分布を持つ場合に再構成が困難であった.また,三次元分布の再構成が可能な手法も提案されているが,収束性が保証されていない,初期解依存性が強いといった課題が存在した.本研究では,電場のヘルムホルツ分解を用いて,収束性が保証された反復計算によって三次元的な電気特性分布が再構成可能な手法を提案する.

いとう    ゆうき
伊藤 優希 君(学生会員)
2020年慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 卒業後,同大学理工学研究科基礎理工学専攻に進学.ワイヤレスインタラクション研究室に所属しテラヘルツレーダーの実用展開をテーマに研究活動を行う.

受賞論文「漏れ波型テラヘルツレーダーの識別力向上に向けた掃引データ区分化処理の研究」
テラヘルツ帯の電磁波をレーダーとして利用する場合,その高い周波数によりサブミリオーダーへの高解像度化およびアンテナの小型化が可能である.しかしテラヘルツ帯ではレーダーに必要な位相器など基本素子は未だ実現されていない.そこで,最近導波構造からの漏れ波を用いてテラヘル帯で動作するレーダーが提案されている.漏れ波レーダーでは取得した反射周波数とその逆フーリエ変換から求まるTime-of-Flightによって,それぞれ対象物の方向と距離を検出し,位置を推定することができる.しかし複数のオブジェクトを測定した場合,角度を示す反射周波数と距離を示すToF信号の外積によって作成されるマップは,実際の位置の他,距離と角度が入れ替わった箇所にも反応を示すものになってしまう.この不定性を回避するために本研究では周波数掃引に基づいて測定されたレーダー信号を帯域分割して処理する区分化信号処理を提案する.実験によって単一のエリア全体のスキャンデータのみを用いて異なる距離,角度に配置された2つのオブジェクトの位置を検出できることを認した.

いおり    ゆうご
伊織 佑悟 君(正会員)
1996年神奈川県生.2018年東京工業大学工学部卒業.2020年東京工業大学情報理工学院修了.同年4月楽天株式会社に入社.現在は大規模データを用いたシステムの開発に従事.

受賞論文「ロバストネットワークにおけるパルス通信を用いたレジリエント同期」
本論文では,無線センサネットワークに対する時刻同期問題を考え,とくにパルス通信を用いた新たな同期アルゴリズムを提案する.ネットワーク上には,他のノードの同期を妨げるようなパルスを発する,悪意を持つ攻撃ノードが複数存在し得ることを想定する.とくに従来研究と異なり,ネットワークの構造に焦点を当て,完全グラフでない一般的な場合を考える.これらの条件の下,マルチエージェントシステムの合意問題の分野において研究されているMSRアルゴリズムと呼ばれる手法を応用し,レジリエントに同期を達成するアルゴリズムを考案する.各エージェントは,まず異常な周期でパルスを送信しているノードの有無を検知する.さらに,そこで検知できないような異常パルスを攻撃ノードが発する場合には外れ値として無視する.ロバスト性と呼ばれる性質を有するネットワーク上において,正常なノード同士で時刻同期が達成可能であることを理論的に示す.

かとう るい
加藤 留偉 君(学生会員)
1996年愛知県生.2019年東京工業大学工学部制御システム工学科卒業.同年東京工業大学情報理工学院情報工学系修士課程に進学,現在に至る.ネットワーク系に関する研究に従事.

受賞論文「DoS攻撃下における非線形システムの量子化制御」
近年,制御系におけるセキュリティ問題への関心が高まっている.とくに,通信を介して制御を行うネットワーク化制御系にとって,意図的にパケット損失を引き起こすDoS攻撃は大きな脅威となる.さらに,非線形システムを線形化して制御している場合,攻撃によって状態軌道が線形化領域から逸脱してしまう可能性がある.そのため,平衡点の安定性だけでなく,不変集合の大きさがより本質的な問題になってくる.本研究では,攻撃の頻度と長さによって特徴づけられたDoS攻撃モデルを考え,非線形システムの局所的漸近安定性及び平衡点への収束性の十分条件を導出した.また,通信路の容量には限界があるので,システムが大規模化することを考えるとより少ない情報量で制御することが望ましい.本研究では,有限データレートでシステムを漸近安定化できる動的量子化器を用いた量子化制御を考え,パケット損失を考慮したレジリエントな量子化器を提案している.

いもと りょうま
井本 稜馬 君(学生会員)
1998年神奈川県生.2020 年横浜国立大学理工学部数物・電子情報系学科卒業.同年同大学大学院理工学府修士課程に進学し現在に至る.機械学習を用いた時系列解析に関する研究に従事.

受賞論文「多次元時系列データに対するMulti-level Attentionを用いた解釈可能な時系列予測」
情報通信技術の発展により多種多様なデータが利用可能な中,時系列データの予測に対する重要性が高まっている.しかし,同時刻に計測された時系列データが複数存在する場合,目標変数と関連性の低いデータや,各系列が相関を持ちそれぞれの変化に影響を与えるデータが存在することから予測は非常に高次元であり困難なものであると言える.本研究では多次元の時系列データを入力として,時系列データ解析で有効な機械学習手法である再帰型ニューラルネットワークを軸とした手法を用いて時系列予測を行う.一般的に機械学習による予測結果はブラックボックスであることが多く,どのように予測が行われたかを解釈することが難しいという解釈性の課題が存在する.そこで,Attentionと呼ばれる技術を用いて予測を行う際にどの入力を重要視したかを可視化することで予測に対する根拠の提示を行った.従来手法と比べて正確な根拠の提示を行うために,各入力データに対する重要度の決定方法を工夫することで改善を図った.


といで ゆうたろう
砥出 悠太郎 君(学生会員)
1995年千葉県生. 2020年東京大学新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修士課程修了. 現在は同専攻の博士課程に進学し, 触感設計に関する研究に従事.

受賞論文「Sequential Line Searchを用いた振動触覚イコライザシステム」
サラサラやデコボコといった好みの振動触感の波形パターンをデザインするとき, その調整方法は自明ではなく, 設計者は多次元の触知覚空間を網羅的に探索する必要がある. これは, 設計者に対して大きな時間的・認知的負担を強いることになる. この問題に対し本研究では, ベイズ最適化を拡張したSequential Line Searchを導入し, 複数周波数のゲイン調整という多次元のパラメータ調整を少数回の1次元スライダ調整で実現し, 触感調整にも応用できることを示した.この手法により, 設計者は自身の感覚に基づいて簡便に触感のデザインやカスタマイズが行えるようになる. ゲーム応用を初めとしたさまざまな触体験に対して, 高級感や重厚感といった感性的なニュアンスまでを簡便に付与でき, より高い質の触感再現が実現できる可能性がある.論文ではシステムのプロトタイプを作成し, その基本性能の評価について実証した.

たかはし れお
高橋 澪生 君(学生会員)
2019年東海大学工学部機械工学科卒業.同年東海大学大学院工学研究科機械工学専攻課程入学.現在に至る,大腿義足の研究に従事.

受賞論文「階段昇降可能な無動力油圧システムを有する大腿義足」
膝・足関節を損失した大腿切断者の用いる大腿義足には,立脚期における安定性と遊脚期における下腿部振り出し動作の円滑性が求められる.本研究ではこれに加えて無動力の油圧システムでの交互歩行による階段昇段/降段の達成を目標とする.本研究で扱う無動力油圧システムは,油圧配管内部の弁の開閉により膝/足関節の連動性を制御する.これにより弁閉鎖時は床反力による足関節の背屈を膝関節の伸展に連動させ,階段昇段を補助する.弁を僅かに開いた状態では急激な膝折れを防止し,階段降段/平地歩行立脚期の膝屈曲状態での体重支持(イールディング)を補助する.先行研究では歩行実験により交互歩行による階段昇段を達成した.本研究は実用性向上を目的に本体形状を大幅に変更し,下腿長や関節の連動性等の特性を調整可能とした.

かさい ゆうすけ
笠井 宥佑 君(正会員)
1993年岡山県生.2017年名古屋大学大学院工学研究科マイクロ・ナノシステム工学専攻修士課程修了.2020年名古屋大学大学院工学研究科マイクロ・ナノ機械理工学専攻博士課程修了.オンチップ細胞ソーティングを始めとする高速・高精度マイクロ流体制御に関する研究に従事.

受賞論文「輸送渦の時空間的生成を用いたオンチップソーティング」
医学・生物学の分野においてマイクロ流路を用いた微粒子ソーティングは重要な基盤技術である.しかし,マイクロ流路特有の層流環境において流体制御の速度と操作体積にはトレードオフの関係があり,従来,卵子やスフェロイド,花粉といった100 ●mを超える大きな微粒子の高速オンチップソーティングは困難であった.そこで本研究では,オンチップメンブレンポンプを用いて局所的に高レイノルズ数環境となる超高速噴流を生成し,周りの流体を巻き込みながら時空間的に発展する「輸送渦」を活用する新たなソーティング手法を提案する.実験の結果,応答速度約100 ?sの輸送渦を用いた高速流体制御を達成し,さらに160 ●mの大型蛍光ビーズのソーティングに成功した.本成果は従来の微粒子ソーティング技術の応用を拡げ,代謝学,免疫学,遺伝子学などの生化学の研究領域のみならず,畜産,創薬,バイオ燃料などの産業・工業領域への貢献が期待できる.

まつい    だいすけ
松井 大育 君(学生会員)
1997年神奈川県生.2020年中央大学理工学部精密機械工学科卒業.同年中央大学大学院理工学研究科精密工学専攻修士課程に進学し現在に至る.蠕動運動型ロボットの研究開発に従事.

受賞論文「腸管を規範とした蠕動運動型コンベアの効率的な粉体搬送性能の把握―単一ユニットの連続動作時の内側チューブ管路の測定―」
食品や医薬品,工業製品として粉体が広く用いられている.印刷機における粉体搬送ではスクリュコンベアが用いられる.しかし,高速搬送時にはスクリュと壁面間に生じるせん断力やモータの温度上昇から粉体に凝集が生じ,転写に悪影響を及ぼす.そのため,搬送時の圧力考慮や温度管理を考慮する必要があり,低せん断力,温度上昇のない高速搬送が求められる.著者らは,人間の腸管の蠕動運動に着目したロボットを開発し,印刷機に用いられる粉体の搬送を行ってきた.先行研究では,開発した蠕動運動型コンベアによって,凝集なく81.5 g/sの高速搬送および垂直搬送を実現した.一方で,ユニット単体の特性や内側チューブの動きはわかっていない.本研究では,蠕動運動型コンベアの単一ユニットの動作間隔時間と内側チューブ管路断面積の関係を実験的に解明した.これにより,今後の蠕動運動型コンベアのさらなる効率的な粉体搬送の実現を目指す.

てつい ひかる
鉄井 光 君(正会員)
1996年長崎県生.2018年東北大学 工学部 機械知能・航空工学科卒業.2020年東北大学大学院 情報科学研究科 応用情報科学専攻修
了.

受賞論文「極小剛を網羅配置した保護外皮メカニズム―耐脱鱗性を有する伸縮自在な柔剛兼備ウロコ状機構の考察と具現化―」
近年,多様な形状の物体を把持可能なグリッパ機構として,袋型グリッパが開発されている.粉体や流体等を封入した柔軟な袋を対象物の形状になじませることによって物体を把持する.従来の袋型グリッパ機構の多くは,伸縮性のあるゴム素材や布などから成るため,尖った物体を把持する際にはグリッパ表面が破けて,内部粉体・流体等の漏れが生じ,把持ができなくなる問題があった.本研究ではこの問題を解決するため,生物の有する鱗に着目し,硬質なプレートを重ね合わせて網羅配置することにより柔軟性・高剛性・耐穿刺性を併せ持つソフトロボット保護外皮「ウロコ状機構」の基本原理を考案した.また,考案原理に基づいて試作した実機を用いて基本特性実験を行い,その保護機能の有効性を確認した.

おおしま しんいち
大島 伸一 君(正会員)
2012年京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻修士課程修了.同年日本製鉄株式会社に入社し,現在に至る.技術開発本部プロセス研究所にて製鉄プロセスにおける光学的手法を用いた形状計測技術の研究開発に従事.

受賞論文「周波数変調レーザを用いた距離と速度の同時計測」
鋼材の速度や長さの測定にレーザドップラ速度計LDV (Laser Doppler Velocimeter)が用いられている.しかしながら,従来のLDVは測定対象までの距離がレーザ交差部に制約され,距離変動や寸法範囲の大きい鋼材への適用が困難であった.本研究では,周波数が線形に高速で変化する周波数シフト帰還型レーザFSFL (Frequency Modulated Feedback Laser)を用い,上記距離制約がなく,速度と距離を同時に計測可能な新技術FSFL-RVM (Range and Velocity Meter)を考案, 実証した.FSFLを応用した距離計はレーザが照射された測定対象からの反射光の周波数を基に距離を測定するが, 測定対象が移動している場合は,ドップラー効果により反射光の周波数が変化し,測定値がシフトする.そこで,光軸角度がそれぞれ異なる2つの測定ヘッドの反射光の周波数から,連立方程式を解いて,移動する対象の距離と速度を算出する方法を考案した.論文では回転円盤を用いた測定原理の実証試験結果を報告し,新技術が鋼材の製造プロセスへ適用できる有用な測定技術であることを示している.

おおいし のぶや
大石 修也 君(学生会員)
1995年埼玉県生.2019年横浜国立大学理工学部数物・電子情報系学科卒業.同年同大学大学院理工学府修士課程進学.画像・動画像処理に関する研究に従事.

受賞論文「位相相関画像とCNNを用いたロバストな移動量推定」
2画像間の平行移動量を推定する手法として位相相関画像を入力に受け取り平行移動量を推定するCNNを学習する手法を提案した.2画像間の平行移動量は画像のパノラマ合成や医療画像の位置合わせなどさまざまな用途で使用されている.これを推定する代表的な手法として位相限定相関法が存在するが,物体の形が変わってしまう場合や平行移動量が大きい場合に精度を保てなくなるという課題が存在する.そこで,提案手法では,位相相関画像がピークから平行移動量を推定可能であることに着目し,これを画像として見てピーク形状の特徴も含めて移動量を推定する.具体的には位相相関画像と平行移動量のペアによってCNNを位相相関画像から平行移動量を推定できるように学習する.実験を通して,提案手法が従来の平行移動量を推定する手法において精度が保てない場合にロバストとなることを示した.

ますや けん
舛屋 賢 君(正会員)
1987年山口県生.2016年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士後期課程単位修得退学.同年大阪大学より博士(工学) 取得.同年九州大学大学院工学研究院機械工学部門学術研究員.2018年より東京工業大学工学院機械系助教となり,現在に至る.人の近くで動作するロボット技術の研究に従事.日本ロボット学会,日本機械学会,IEEE などの会員.

受賞論文「釣糸アクチュエータのユニット化のための光ファイバを用いた変位センサの検討」
釣糸アクチュエータは,ねじってコイル化した高分子繊維の加熱に伴う収縮を利用したソフトアクチュエータであり,高出力・安価・静音性の観点から世界的に注目が集まっている.このアクチュエータのユニット化にあたり,モータに対するエンコーダのような変位センシングが必要となる.これまでに加熱用電線の電気的特性に基づく変位センシングが開発されたが,アクチュエータ駆動や荷重変動の影響により測定精度低下が生じていた.このため,電気的特性に依らない方法が必要である.そこで,本研究では,他のソフトアクチュエータでも利用されている光ファイバを,釣糸アクチュエータユニットの変位センシングへ応用することを提案した.コイル化した光ファイバの伸展に伴う曲率変化から変位を推定できることに加え,アクチュエータ駆動時や荷重変動時でも測定精度が大きく損なわれないことを実験により示した.