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特集:生体信号処理の医療AIへの応用と課題


医療分野においても,機械学習技術における活用が期待され,現状としてその開発や臨床 応用は,大量のデータが比較的容易に取得できる医療画像からの病変検知などに偏ってお り,心電図や脳波など生体信号の医療AIへの応用は未だ少ない.これには,生体信号は時 空間パターンが複雑・非定常的で,対象現象の表現が特定困難であること,データが高次 元となること,サンプルとして取得できる生体信号の量が限定的であること,個人差が強 く対象者間での汎化が難しいことなど,生体信号は機械学習における課題が凝縮されてい ることによると考えられる.一方でスマートウォッチに代表されるように,日常生活中に ウェアラブルで様々なデータが収集できるようになりつつある.これらを背景として,政 府も医療AIを含めたプログラム医療機器(SaMD)開発を後押しする体制整備を進めている .本特集号では,生体信号処理を用いた医療AIの最新の技術の動向と事例を紹介するとと もに,SaMDに開発に関わる薬事の手続きや薬機法などの各種法令の解説,そして機械的な システムに臨床での意志決定に影響されうることについての倫理的な問題を議論したい.



計測と制御 Vol.64 No.9 目次

リレー記事 「FACE the future」《第80回》難聴克服を目指した聴覚感 覚細胞が発する音の評価 [PDF]
李 信英(大阪大)

特集 生体信号処理の医療AIへの応用と課題

[巻頭言] 生体信号と医療AIの新たな挑戦 [PDF]
藤原 幸一(北海道大/NAIST),久保 孝富(NAIST)
[解説] 医療AIを支える生体信号計測の基礎と応用
山川 俊貴(NAIST/クアドリティクス)
[解説] 脳波処理再訪—「情報漏洩」を避けるために—
田中 聡久(農工大)
[解説] 心電図測定と心拍変動,そのAI応用
川治 徹真(三菱京都病院),藤原 幸一(北海道大/NAIST)
[解説] 表現学習が拓く医療AIの未踏域—生体信号の表現と特定可能性—
久保 孝富(NAIST)
[解説] 薬事規制におけるソフトウェア製品
桐山 瑶子(MICIN)
[解説] 医療AIのELSI
稻谷 龍彦,山田 哲史(京都大)
[事例紹介] てんかん発作予知AIの開発
堀 憲太郎(クアドリティクス)
[事例紹介] 脳波解析による小児のてんかん予後予測
鈴井 良輔(NCNP)
[展望] 生体信号に基づく医療AIの現在地展望
藤原 幸一(北海道大/NAIST),久保 孝富(NAIST)
[新人研究者によるサーベイ報告] 遺伝子治療製品の品質評価についての 調査研究
安達 友里子(産総研)
[編集後記] 藤原 幸一(北海道大/NAIST),久保 孝富(NAIST)[PDF]