論文集抄録
〈Vol.52 No.2(2016年2月)〉

タイトル一覧
[論  文]


[論  文]

■ 非線形システムに対する動的量子化器の設計―擬似線形表現に基づくアプローチ―

南山大学・荒川 紘次,,大石 泰章

  本稿では,ゲインスケジューリングモデル予測制御によるスプリット式HEVの燃費最適化を提案する.複雑なパワートレインを持つHEVには,エンジンと モータの動力を最適に分配するエネルギーマネジメントアルゴリズムが不可欠である.このアルゴリズムにより,走行区間で燃費最適化,ドライバの要求する走 行の実現,バルベース制御の結果と比較検証する.


 

■ 有限時間整定P-PI制御によるロボットマニピュレータの高精度位置決め制御

京都大学・佐藤 康之,ソフトウェアエンジニアリング・西田 直貴,
東京理科大学・中村 文一

 本論文では,ロボットマニピュレータの手先位置決め制御問題において,シンプルな構造でありながら高精度な位置決め制御を実現する,有限時間整定P-PI制御則を提案する.
 まず,1リンクマニピュレータの角度制御問題に対する有限時間整定P-PI制御則を設計し,有限時間での目標角度への収束性を理論的に示す.その後,一般のnリンクマニピュレータの手先位置制御において,逆ヤコビ行列を用いた有限時間整定P-PI制御則を提案する.1リンクの場合と同様に,目標位置への有限時間整定性が理論的に保証される.最後に,三菱重工製PA-10を対象とした実機実験を行い,提案制御則の有効性を検証する.


 

■ 機能共鳴分析手法を用いた鉄道運転操縦のリスク評価

西日本旅客鉄道・福田 啓介,京都大学・椹木 哲夫,堀口 由貴男,中西 弘明

  本研究では,列車運転の安全性向上を目指し,運転士の一連の作業をシステムと みなし,創発型モデル(Systemic Accident Model)による安全性分析を試みる.
そのためにHollnagelにより提案された,機能共鳴分析手法(Functional Resonance Analysis Method)を導入し,システムの構成要素であるいくつかの機能でのゆらぎ(変動)が機能同士の依存関係により,不安全事象を出現させる構造を明らかにすることを目指す.まず,運転士の遂行すべき作業について,教則本,規程や規制等を基に,構成要素間の依存関係を機能の依存関係として構造化表現するための手法について提案する.そして,過去に実際に生起した不安全事象に本手法の適用を試み,運転士が遂行すべき作業を表現する.さらに表現された一連の作業のシステムにおいて,一部の作業要素の遂行上のゆらぎが他の構成要素や作業全体に伝播することにより不安全事象に至る過程を示す.一連の分析を通じて,本手法により,過去の実事例における不安全事象に至る動的な変化の再現に加え,当該事例を取り巻く状況が異なった場合における,他の潜在的な危険因子が顕在化した場合に予測される影響についても導出が可能になることを併せて示す.


 

■ PCと実世界両者にアクセス可能な頭部動作型ポインティングシステムの提案とその基本動作確認実験

広島市立大学・安孫子 優紀,日髙 雄太,岩城 敏

  上肢運動機能が衰えた人の意思表示支援装置への応用を念頭に,PC内オブジェクトおよび実物体両者へのポインティングをシームレスに実現するハンズフリーインタフェース方式を提案する.これまで筆者らが開発してきたPC用頭部動作インタフェース「枕インタフェース」でGUI操作すると共に,その信号を使ってユーザ頭部付近に設置したパンチルトアクチュエータに搭載されたレーザポインタの方向を制御する.カーソルがPC画面の端まで到達した瞬間,あたかもそのカーソルが実世界にそのまま飛び出すかのようにレーザポインタを時間的・空間的に連続照射する.原理確認用実験システムを構築し提案方式の基本的妥当性を確認すると共に,実物体ポインティング性能の初期評価として2次元平面・3次元空間両者の環境でThroughput計測実験を行った.


 

■ 予見情報の不確かさを考慮した∞推定器の構成

 首都大学東京・児島 晃,端倉 弘太郎

  予見制御法は,目標値の予見情報を利用することにより,制御系の過渡応答を改善する設計法として知られ,数多くの設計法が明らかにされてきた.しかしながらこれまでの研究において,予見情報は正確であることが仮定されており,より広範な問題に適用する場合には,不確かな予見情報から対象の有用な情報を推定する方法を確立し,さらに制御法を明らかにすることが必要になる.
本論文では,予見情報の不確かさを考慮したH∞推定問題に対して,達成可能なH∞推定性能と推定器の構成法を明らかにする.そして時々刻々と更新される予見情報の不確かさを分布外乱により定め,不確かさを克服する推定器の構成法を導く.また数値例により,予見情報に含まれる不確かさの性質と推定性能の関係を考察する.