論文集抄録
〈Vol.57 No.4(2021年4月)〉

タイトル一覧

[論 文]


[論  文]

■ ユーザの性格特性がユーザの働きかけに対するロボットの反応による心理的ストレス緩和効果に与える影響

林  里奈

 ロボット介在活動が一般家庭にも拡大することを踏まえ,ユーザの特性とロボットの反応,およびその反応がもたらす効果の関係の知見を収集する一環として,ユーザの性格特性が,ロボットの寛容的な反応,拒絶的な反応,感情的な反応により得られる心理的ストレス緩和効果に与える影響を,評価実験を通して比較した.その結果,ユーザの調和性が,ロボットの寛容的な反応により得られる疲労緩和効果に,ユーザの情緒不安定性が,ロボットの感情的な反応により得られる怒り緩和効果に影響を与えることを確認した.また,ユーザの性格特性によらず,ロボットの拒絶的な反応により活気向上効果は見込めないことを確認した.したがって,ロボット介在活動において,拒絶的な反応の割合が高いロボットを用いることは避けた方が良く,調和性の高いユーザが疲労緩和効果を必要とする場合は寛容的な反応の割合が高いロボットを,情緒不安定性の高いユーザが怒り緩和効果を必要とする場合は感情的な反応の割合が高いロボットを用いた方が良いといえる.


 

■ 複数属性から構成される特徴ベクトルにおけるGrowing Neural Gasに基づく空間構造の学習

岡山大学・戸田 雄一郎,和田 亮雅,松野 隆幸,見浪 護

  空間認識技術は未知環境で活動する知的な自律型ロボットにとって最も重要な能力の一つである.未知環境における空間認識技術を実現するために,空間構造の学習と位相構造の生成が同時に可能な手法としてGrowing Neural Gas (GNG)に基づく手法が多く提案されている.しかしながら,従来のGNGは位置や色といった複数の属性から構成される入力ベクトルを用いて学習した際に,適切に空間構造を保持して学習をすることができないといった問題点が存在した.そこで本稿では,この問題を解決するための手法として,構成される属性数毎の位相構造を保持するGNG with Different Topologies (GNG-DT)を提案する.さらに,提案手法の有効性を検証するために,様々なデータセットを用いた手法と比較を行い,様々な観点から議論を行う.


 

■ 拘束条件下でのデータ駆動制御

 電気通信大学・定本 知徳,金子 修

 本論文では,拘束条件のあるシステムに対して所望の追従性能を実現するためのフィードバックおよびフィードフォワード制御器のデータ駆動型設計を提案する.提案手法は,時間領域上で記述される入力,出力,および複数の内部状態変数に対する任意の線形制約を扱うことができる.これらの制約のもとで所望の制御性能を達成する制御器設計問題を,データ駆動予測に基づき二次最適化問題に帰着することで効率的な求解を可能とする.提案法の有効性はフィードバックおよびフィードフォワード制御器設計に関する2つの数値シミュレーションを通して検証した.


 

■ 構造物内部の高精度診断のためのマイクロ波レーダの信号処理技術

信州大学・高山 潤也,鈴木 健斗,萩原 大資

 マイクロ波レーダ法には,鉄筋コンクリート構造物の安全性診断を実現するための非破壊内部検査方法としての有用性がある.本論文では,マイクロ波レーダ法による内部構造検査の精度向上を図る信号処理技術を提案した.具体的には,時間-周波数分析法を基にして,マイクロ波の伝播時間と反射位相変化を正確かつ精密に同時評価するための技術を構築した.あわせて,空気層と基板層を挿入した新しいマイクロ波伝播経路モデルも提案し,反射点座標推定の正確性の向上も図った.提案した伝播時間・反射位相評価方法の性能を実験をとおして検証するとともに,実験的な伝播時間推定値とマイクロ波伝播経路モデルから導出される理論伝播時間が精度よく一致することを示し,両提案技術の有効性を明らかにした.