論文集抄録
〈Vol.57 No.8(2021年8月)〉

タイトル一覧

[論 文]


[論  文]

■ 制御バリア関数を用いた外乱下において安全性を保障するヒューマンアシスト制御

東京理科大学・林 優花,中村 文一

 近年,制御バリア関数(CBF:Control Barrier Function)に基づく状態制約を考慮したシステムの制御法が盛んに研究されている.その中でも外乱を含むシステムの 安全性を保障する手法として,Input-to-State Safety Control Barrier Function(ISSfCBF)を用いた研究が行われている.ISSf-CBFを用いることで,システムに未知の外乱 が加わったとしても状態が有界であることを保障することできる.しかしISSf-CBFを 用いた制御法では状態制約を満たすことができず,安全性を保障することはできない . そこで,本研究ではCBFをもとにInput-to-State Constrained Safety Control Barrier Function(ISCSf-CBF)を提案する.またISCSf-CBFを用いた,任意の未知有界外乱に対してシステムの状態制約を守るヒューマンアシスト制御則を提案する.本研究では未知有界外乱に対するヒューマンアシスト制御則の設計例として,車両のブレーキアシストシステムの設計を行い,提案法の有効性をコンピュータシミュレーションにより明らかにする.


 

■ 経路の道幅を考慮した状態フィードバック型経路追従制御則の設計

熊本大学・住友 宣仁,岡島 寛,松永 信智

 自動運転は,交通事故の防止や交通渋滞の解消など交通における様々な課題解決に大きく貢献する可能性を秘めている.そのため,実用化に向けた研究開発が盛んに行われている.本論文では,自動運転において必要となる機能の一つとして経路追従制御を考える.経路追従制御問題を一つの最適化問題として扱うアプローチは古くから研究されているが,これらは逐次的に煩雑な計算を行うモデル予測型の手法となっている.これに対して,状態フィードバック則として追従制御則を与えることができれば,複雑な演算なしで適切な経路追従ができるだけでなく,障害物回避などの様々な必須機能との併用が容易になるというメリットが生じる.これに対して先行研究では,非線形システムの出力零化に基づいた経路追従則と状態フィードバック型の速度制御則を導出し,摩擦円や走行時間を考慮した追従制御を実現した.本論文においては,道路が道幅を有していることを考慮し,道路中心線からの逸脱を許容した経路追従則・速度制御則を導く手法について検討する.道路中心線からの逸脱を許容することで先行研究と同一の路面摩擦に関する制約下でより短い時間での走行を可能とする経路追従が期待できる.本論文で提案した制御則の有効性は数値例によってその効果を検証する.


 

■ 選好を考慮したLQG電力需給ネットワークに対する動的予算均衡統合メカニズムの設計

金沢工業大学・村尾 俊幸,鈴木 志昇,
富山大学・平田 研二,早稲田大学・内田 健康

 本研究では,動的予算均衡統合メカニズムの提案を行う.公共利得の最大化を目指したユーティリティーと個人利得の最大化を目指したエージェントが存在する次世代の電力需給ネットワークを想定し,そのモデルとして Average System Frequency Model を導入する.ただし,再生可能エネルギー源の確率的性質や観測雑音などを考慮するため,正規性白色雑音を付加することとする.LQG 電力需給ネットワークとしてモデル化したシステムに対して,Arrow-d'Aspremont-Gerard-Varet (AGV) メカニズムに基づく動的統合メカニズムの設計を行う.各エージェントにインセンティブを与える実時間価格策定(リアルタイムプライシング)手法により,コスト汎関数を用いた場合とハミルトン関数を用いた場合の両方に対して,個人的最適制御による公共的最適性,ベイジアン誘因両立性,予算均衡性の三つの特性を満たすことを示し,さらに数値実験により提案するメカニズムの有効性を検証する.


 

■ PLCの動作順序を監視するホワイトリストの自動生成手法

電気通信大学・藤田 真太郎,澤田 賢治,新 誠一,細川 嵩

 サイバー攻撃による被害が増大しているため,産業用制御システムに対するセ キュリティ対策の研究開発が急務となっている.そこで,産業用制御システムで 広く利用されているPLC(Programmable Logic Controller)を対象としてホワイ トリストによる異常検知技術を提案する.PLCはシーケンス制御を得意とする制 御器であり,LD (Ladder Diagram) やSFC (Sequential Function Chart)などの ビジュアルプログラミング言語によって動作が記述される.本論文は,ホワイト リストを自動生成するために,モデル生成,制約条件の導出,実装方法の3つの 提案を行った.モデル生成は,SFCで記述された制御プログラムからペトリネッ トを用いて制御システムの動作順序モデルを生成する.制約条件の導出は,生成 したモデルから制御システムが正しい動作をするために制約条件を導出する.こ の制約条件を満す動作を制御システムの正常な動作とし,条件を逸脱する動作を 異常として検知する.最後に,実装方法は,制約条件をLDに変換することで, PLCにホワイトリストを実装する.提案手法によって,制御システムの動作順序 の異常を検知可能であることを実機実験により検証した.